【2020年】海外FXの税金・確定申告はどうなってるの?節税・脱税はできる?

For Biginners (5)海外FXで取引を行っていると「海外」という言葉がついているので「日本に税金は納めなくていいのでは?」と思ってしまいがちですよね。

しかし、海外の口座を使用して取引を行っていたとしても、日本に在住している以上は国に税金の支払い・確定申告をする義務があります。

ここで厄介なのが海外FXと国内FXでは税金の仕組みや確定申告の方法が異なるということ。

今回は海外FXと国内FXを比較しながら、海外FXの税金・確定申告について解説していきます。

確定申告の基準はなに?人によって異なるの?

FXトレードを行っている方が確定申告をしなければならない基準は以下の通りです。

  • 給与取得者⇒20万円以上の利益
  • それ以外の方⇒38万円以上の利益

給与取得者とそれ以外の方で確定申告しなければならない基準が異なることに注意してください。

ハイリターンが見込める海外FXでは年間で20万円、38万円の利益をあげる方も珍しくないので、うっかり確定申告し忘れないように注意しましょう。

海外FXの税制度は国内FXと大きく異なる

海外FXと国内FXでは税制が大きく2つ異なります。

  1. 海外FXは累進課税、国内FXは申告分離課税
  2. 海外FXは損益通算が不可能

それでは、この2つについて更に詳しく勉強していきましょう。

国内FXは申告分離課税。税率は一律20%。

国内FXの口座で上げた利益に関しては申告分離課税となります。

そのため利益が100万であろうと1億であろうと、税率は一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税【15%×2.1%=0.315%】+地方税5%)です。

国内FXの場合はどれだけ稼いでも2割の税金と覚えておけば良いでしょう。

海外FXは累進課税!稼げば稼ぐほど税金が高くなる。

海外FXの税金は「雑所得(総合課税)」に分類されます。雑所得というと少し難しく感じますが「きちんと働いて得た給料以外にお小遣い目的で稼いだお金」だと考えれば分かりやすいのではないでしょうか。

そのため、海外FXの税制は累進課税。累進課税なので、上げた利益額によって税率が変化していきます。

以下の表は「利益額とそれに応じた税率(内訳)」を表したものです。

課税所得金額 税率 税率内訳
 195万円以下  15% 所得税5%+住民税10%
 195万円超~330万円以下  20% 所得税10%+住民税10%
 330万円超~695万円以下  30% 所得税20%+住民税10%
 695万円超~900万円以下  33% 所得税23%+住民税10%
 900万円超~1,800万円以下  43% 所得税33%+住民税10%
 1,800万円超~  50% 所得税40%+住民税10%

※2013年1月1日より向こう25年間に渡り、所得税と復興特別所得税2.1%を併せて申告・納付することになりました。

ご覧の通り、利益が330万円以下であれば国内FXと同等か低い税金で済みます

【国内・海外FXともに180万円の利益が出た場合】

  • 国内FXの税金⇒180万円×税率20.315%=365,670円
  • 海外FXの税金⇒180万円×税率15.105%=271,890円

海外FXの方が国内FXより「93,780円」税金が安い。

【国内・海外FXともに330万円の利益が出た場合】

(国内FXの税金)

330万円×税率20.315%=670,395円

(海外FXの税金)

  • 195万円×税率15.105%=271,890円
  • 135万円(330万円-195万円)×税率20.21%=272,835円
  • 271,890円+272,835円=(税金総額)544,725円

海外FXの方が国内FXより「125,670円」税金が安い。

しかし、利益が330万円を超えたあたりから国内FXよりも高い税金がかかってしまうので注意してください。

【国内・海外FXともに500万円の利益が出た場合】

(国内FXの税金)

500万円×税率20.315%=1,012,750円

(海外FXの税金)

  • 500万円×税率30%ー42万7,500円+22,522円=1,095,022円

国内FXの方が海外FXより「82,272円」税金が安い。

海外FXの税率は獲得した利益額で変動することを覚えておきましょう。

どうして海外FXは累進課税なの?

もちろん、海外FXが累進課税なのにはしっかりとした理由があります。以下は海外FXブローカーを使用した取引に対する国税庁の見解です。

(注)1 平成23年12月31日以前に行われた店頭取引の場合の課税関係は次のとおりです。

イ 差金決済による差益が生じた場合
一般的には、雑所得として総合課税の対象となりますので、課税総所得金額に応じた税率(超過累進税率)で課税されます。

ロ 差金決済による差損が生じた場合
上記イのとおり、一般的には雑所得とされることから、雑所得の範囲内での損益の通算は可能ですが、他の各種所得の金額との損益通算はできません。なお、取引所取引に係る「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益の通算もできません。

(注)2 平成24年1月1日以後に行う店頭取引であっても、金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引に該当しない取引は、申告分離課税ではなく、注1の取扱いとなります。

引用:国税庁HP No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係

注目して欲しいのは(注)2の部分です。要は、海外FXブローカーは日本の金融庁の認可を受けていないので、金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引に該当しないということ。

そのため海外FXの利益は雑所得となり、累進課税を課されるのです。

もちろん金融庁の認可を受ければ累進課税ではなくなりますが、レバレッジ規制が入り25倍が上限となってしまいます。

海外FXは損益通算・損失の繰り越しができないことに注意!

国内FXであれば3年間に渡り、損益通算することができます。

【国内FXで2012年に200万円の損失、2013年に400万の利益を上げた場合】

この場合、2012年の200万円の損失と、2013年の400万円の利益を合算した金額が税金の対象となります。-200万円+400万円なので、通算の200万に税金がかかるということ。

200万円×税率20.315%=税金406,300円

2年間で406,300円の税金を払えばOKです。

このように損失を繰り越して、損益通算させることができるわけです。

ただし、しっかりと各年ごとに確定申告していることが条件。上記の例であれば、200万円の損失を生んだ2012年も確定申告していないと損益通算できなくなってしまいます。

一方、海外FXでは損失の繰り越し控除・損益通算をすることができません

先ほどの国内FXと同じ例で考えてみましょう。

【海外FXで2012年に200万円の損失、2013年に400万円の利益を上げた場合】

海外FXでは損失の繰り越し・損益通算ができないので、損失が生まれた2012年は確定申告する必要はありません。しかし、400万の利益を得た2013年は確定申告の義務が生まれます。

もちろん税金も400万円全額が対象です。

  • 330万円×税率20.21%=666,930円
  • 70万円(400万円-330万円)×税率30.42%=212,940円
  • 666,930円+212,940円=(税金総額)879,870円

2012年に200万の損失を出してしまっているので、2年間で手元に残る利益は112万円ほどということになりますね。

このように海外FXでは複数年に渡って損失の繰り越し・損益通算はできないので、各年ごとに税金を支払わなければなりません

損益通算が可能な国内FXと勘違いして虚偽の報告をしてしまうと、普通に捕まって無申告加算税などが課されるので注意してください。

同じ総合課税(雑所得)扱いの所得同士の損益通算は可能!

ただし、海外FXで得た利益も「同じ総合課税(雑所得)扱いの所得同士であれば損益通算することができます。

  • 公的年金・私的年金
  • 原稿料・印税・講演料
  • 非営業用賃金の利子
  • アフィリエイト収入・インターネットオークションの売り上げ

例えば、上記のような収入は海外FXと同じ雑所得扱いになるので損益通算が可能です。

1つ注意しなければならないのは「国内FXの利益や市場デリバティブ取引などの申告分離課税の金融商品と総合課税となる雑所得は損益通算できない」ということ。

例えば、国内FXの利益と海外FXの利益は別々に確定申告しなければなりません。

海外FXの税金を節税する方法は?

海外FXの節税

ここまでの内容を見ると「海外FXの税金って重いなぁ…」と感じた方がほとんどだと思います。確かにあまりにも利益を出し過ぎると、途端に税金が跳ね上がってしまいますからね。

しかし、海外FXでかかる税金を抑える方法があることをご存知ですか?

海外・国内を問わず、FXでは「1年間に得た利益から必要経費を引いた金額」が税金の対象になります。

仮にFXで500万円の利益・必要経費が200万だった場合は「500万-200万=300万」となり、300万円が税金の対象となるのです。

逆に利益が200万・必要経費が500万だった場合は「200万-500万=-300万」となり、利益は発生していないことになるので税金はかかりません。もちろん純粋にFXで利益を上げられなかった場合も同様です。

つまり、節税するためには「いかにして必要経費を上手く申告するか」が重要だということ。

  • パソコン購入費(減価償却費)
  • モニター代
  • プロバイダー代
  • 教材費
  • セミナー代
  • 交通費

例えば上記のようなものは「必要経費」として認められる可能性があります。注意してほしいのは「FX専用のものだったり、FXの利益出すために必要だった」ということをキチンと説明できるようにしておくこと。

必要経費で少しでも税金を減らしたい方はFXに関係する商品の購入やセミナーへの参加の際に、普段から書類や領収書をキチンとまとめるクセをつけておきましょう。

海外FXって脱税できないの?

海外FXでの脱税はダメ

結論から言うと、海外FXでも脱税はできません。数年前にもFXで数億円を脱税していた主婦が話題になりましたよね。

FX口座から国内の銀行口座に送金した場合、国内銀行は全て国税庁の管理下にあるので把握されてしまうのです。いくら大量の利益を小分けに出金しても意味はありません。

ここから少し黒い話をしますが、海外FXの口座から海外の自分の口座に送金して引き出した場合は脱税してもバレない可能性はあります。海外の銀行口座は国税庁の管轄ではないからですね。

しかし、絶対にばれないという保証もありませんし、バレたときには大きなリスクが伴ってしまいます。

仮に脱税がバレた場合には逮捕+追微課税がかかります。

  • 意図的ではない確認ミスなどによる脱税⇒無申告加算税(15%)など
  • 明らかに悪質な隠ぺい行為による脱税⇒重加算税(35%)

仮に重加算税を課された場合「通常の税金+延滞税+重加算税35%」で利益がほとんど消し飛んでしまうことに…。

せっかくFXで利益を出しても、逮捕されたり追微課税で利益がほとんどなくなるような状態になっては何の意味もありません。納税漏れがないように入念にチェックすることを心がけましょう。

とはいえ、単純な確認ミスによる申告漏れや納税漏れがそのまま逮捕につながるわけではないので安心してください。もしそのような場合には税務署から通知が届くので、誠意ある対応をすれば解決することがほとんどです。

ただし、何度も言いますが悪質な虚偽報告や意図的な納税漏れの場合は別ですからね。

海外FXをクリーンに楽しむためにも正しい税金の知識を身に着けよう!

海外FXの税金は確かに国内FXよりも少し厄介です。やっぱり稼げば稼ぐほど、税金で多く持っていかれてしまうのは気分が良いものではありませんからね。

しかし、しっかりと仕組みを理解して税を納めなければ、それ以上の損失を負うことになってしまいます。節税する方法もあることですし、確実に申告・納税するようにしましょう。

ちなみに管理人は「これだけ税金を納められるのも、国内FXと違ってハイレバがある海外FXだからこそだな!」と割り切るようにしています。

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